Edwin Kehが語る「Better」とは?

Science × Materials × Designから考える、これからの服
「Better」とは、何だろう。
もっと新しいこと?
もっと便利なこと?
もっと安いこと?
もっと速いこと?
THE COMMON GLOBAL(TCG)が掲げる「Better」は、単純に「新しいもの」や「便利なもの」を意味するわけではありません。
では、何をもって「Better」とするのか。
THE COMMON GLOBALの創設者であるEdwin Kehに、科学、素材、デザイン、イノベーション、そしてこれからの服について聞きました。
「Better」に終わりはない
Edwinが大切にしているのは、完璧な答えを見つけることではなく、問い続けることです。
「これが完璧だ」と決めてしまえば、そこで進歩は止まります。
だからこそ、
「なぜ、これが良いのか?」
「どうすれば、もっと良くできるのか?」
「誰にとって良いのか?」
「今だけでなく、未来にとっても良いのか?」
そんな問いを繰り返しながら、少しずつ改善していく。
それがEdwinにとっての「Better」です。
そして、Betterは必ずしも“新しいもの”ではありません。
速いことが、必ずしも良いわけではない。
安いことが、必ずしも良いわけではない。
便利だからといって、それが最善とは限らない。
より長く使えること。
より価値があること。
より機能的であること。
そして、自分だけでなく、その先にいる人や未来にも意味があること。
「Better」を考えるには、目の前の結果だけではなく、その先まで見る必要があります。
科学は「世界を理解するための方法」

Edwinは、子どもの頃から科学が好きだったといいます。
ただ、自分自身を「科学者」だとは考えていません。
むしろ彼が大切にしているのは、科学者であることよりも、世界に対する好奇心です。
「なぜ、こうなっているのか?」
「世界はどういう仕組みで動いているのか?」
「別の方法はないのか?」
科学とは、単に難しい知識を持つことではありません。
世界を観察し、理解し、説明し、そこから新しい可能性を見つけていくプロセス。
そして、その理解を実際のものづくりへと応用するのが技術です。
だからEdwinにとって、科学とデザインは遠い存在ではありません。
どちらも本質的には、問題を発見し、解決するための方法なのです。
服は、もっと多くのことができる
では、その科学を「服」に応用すると何が起こるのでしょうか。
私たちは服を、まず「見た目」で考えがちです。
色、シルエット、素材感、デザイン。
もちろん、それらは大切です。
しかしEdwinは、服にはそれ以上の可能性があると考えています。
服は、人を守ることができる。
暑さや寒さから身体を守ることができる。
汗や湿気をコントロールすることができる。
安全をサポートすることができる。
健康や快適な生活を支えることもできる。
消防士の制服や医療用ガウンを考えれば、そのことはすでに明らかです。
つまり、「目的を持った服」は、決して新しいものではありません。
Edwinが考えているのは、その考え方をもっと日常の服へと広げていくこと。
「美しい」だけではなく、「なぜ、この服なのか」という目的を持つ服。
それが、これからの衣服の可能性です。
Materials ── 服の可能性は、素材から始まる

服を考えるとき、素材は非常に重要な存在です。
肌に直接触れるものだからこそ、
柔らかいか。
軽いか。
暖かいか。
涼しいか。
汗を処理できるか。
どれくらい長く使えるか。
そうした一つひとつの性能が、着る人の体験をつくります。
Edwinが現在、特に注目している素材の一つが、コットンです。
何千年にもわたって使われてきた、ごく身近な天然素材。
それでも、まだ改善できる余地がある。
紡績、織り、加工、構造、色。
既に存在する素材であっても、科学と技術によって新しい可能性を引き出すことができる。
「新しい素材をつくること」だけがイノベーションではありません。
知っている素材を、もう一度見直すこともイノベーションなのです。
Yak ── まだ知られていない可能性

THE LABで紹介されている素材の一つ、ヤク。
Edwinは、ヤクをまだ十分に活用されていない素材の一つとして捉えています。
ヤクの繊維には、高い保温性や天然の抗菌性、吸湿性など、さまざまな特性があります。
重要なのは、「ヤクだからすごい」ということではありません。
その素材が持っている性質を理解し、どうすれば人の生活に役立てられるのかを考えること。
それこそが、Science × Materials × Designの考え方です。
植物から生まれる、新しい素材

未来の素材は、私たちが今知っているものだけではありません。
植物由来の素材、セルロース、タンパク質、微生物によってつくられる素材。
農産物から得られる糖やでんぷんを原料にするという考え方もあります。
例えば、トウモロコシなどの農産物由来の成分から、素材をつくることもできる。
また、生分解性を持つ素材は、使用後に環境へ戻っていくという新しい可能性を持っています。
大切なのは、単に「自然由来だから良い」と考えることではありません。
どんな素材なのか。
どのようにつくられるのか。
どんな性能があるのか。
使い終わった後はどうなるのか。
そこまで含めて素材を考える。
それがTHE LABの「材料を見る」ということです。
「良いデザイン」は、美しいだけではない

Edwinにとって、デザインは「見た目」だけのものではありません。
良いデザインには、
Beauty
Performance
Function
Problem Solving
が共存しています。
美しいけれど使いにくい。
高機能だけれど美しくない。
どちらか一方ではなく、理想はその両方が自然に存在すること。
さらに、Edwinが大切にするのがシンプルさとエレガンスです。
余計なものを取り除き、本当に必要なものだけを残す。
そして、時間が経っても魅力を失わない。
「新しいから良い」のではなく、長く使いたいと思えることも、良いデザインの重要な条件です。
イノベーションは、「新しいものをつくること」だけではない
イノベーションという言葉から、多くの人は「まったく新しいもの」を想像します。
しかしEdwinは、イノベーションにはさまざまな段階があると考えています。
既存のものを少しずつ改善する。
より本質的な問題を解決する。
あるいは、まったく新しい方法を生み出す。
そして興味深いのは、「残すこと」もイノベーションになり得るという考え方です。
長く使えるものを大切にする。
修理して使い続ける。
価値のあるものを簡単に捨てない。
Edwin自身、20年、30年前の服を今も持ち、父親が60年前に購入したセーターも大切にしています。
新しいものを次々に買うことだけが、豊かさではありません。
AIが進化しても、「問い」は人間がつくる
AIは、これからデザインの世界を大きく変えていくでしょう。
膨大なデータから新しい組み合わせを生み出したり、デザインのバリエーションをつくったり、技術的な作業を効率化したり。
すでに衣服のデザインにもAIは使われ始めています。
しかし、Edwinが重視するのは、
「AIで何をつくれるか」よりも、「そもそも何をつくるべきなのか」
という問いです。
何をBetterにしたいのか。
誰のためなのか。
どんな未来をつくりたいのか。
そこには、人間の好奇心や直感、観察、創造性が必要です。
では、「Better」とは何なのか?
EdwinにとってBetterとは、
自分たちにとって良いだけではなく、その先にいる人や未来にとっても良いこと。
だからこそ、THE COMMON GLOBALでは、
Better for us.
Better for our world.
という視点を大切にしています。
服をつくる。
素材を選ぶ。
デザインする。
商品を買う。
その一つひとつの行為が、誰にどんな影響を与えるのか。
今だけではなく、未来の子どもたちや、その先の世代に何を残すのか。
「良いものをつくる」だけではなく、
良い問いを持つこと。
そして、答えが見つかったと思っても、また次の問いを探すこと。
THE LAB ── 「答え」ではなく、可能性を探す場所

THE COMMON GLOBAL THE LABは、完成された答えを見せる場所ではありません。
科学。
素材。
デザイン。
そして、人の暮らし。
それぞれを掛け合わせながら、
「もっとBetterにできないか?」
を考え、試し、学んでいく場所です。
だから、THE LABに来たら、ぜひ商品だけではなく、素材にも触れてみてください。
なぜ、この素材なのか。
なぜ、このデザインなのか。
なぜ、この機能なのか。
そして、
「これは、何をBetterにしているんだろう?」
と考えてみてください。
その「なぜ?」から、THE LABの探究は始まります。
THE LABから、世界へ。
まだ答えのない未来の服を、一緒に考えるために。